映像化原作『十角館の殺人』綾辻行人【あらすじと感想】

日本の小説
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こんにちは、akaruです。

今回は綾辻行人さんの『十角館の殺人』のあらすじと感想をご紹介します。

  • 綾辻行人さんデビュー作であり、新本格ミステリーの先駆けとなった作品
  • クリスティーの代表作をオマージュした、孤島が舞台のクローズドサークルミステリー
  • 原作小説のほか、コミックリメイク、Huluオリジナルドラマ、舞台など展開されている

  • 著者:綾辻行人
  • 発行:1987年
  • ジャンル:長編推理小説
  • シリーズ:「館シリーズ」第1作
  • 受賞など:2012年「東西ミステリーベスト100」国内編8位

半年前に起きた、角島青屋敷・謎の四重殺人。

天才建築家・中村青司を含む四人が亡くなった事件であるが、未だ不可解な点も残されていた。

その事件の舞台となった孤島・角島を、K大学推理小説ミステリ研究会に所属する学生たちが合宿として訪れる。

合宿は一週間で、その間は通称「十角館」と呼ばれる「青屋敷」の離れに滞在する予定であった。

最初は冗談まじりで“嵐の山荘”を引き合いに出す彼らだったが、やがて連続殺人が現実のものとなる。

一方本土では、告発文めいた手紙を受け取った元ミス研会員の河南が、半年前の事件について調査を始める。

推理小説研究会

『十角館の殺人』は、K大学推理小説ミステリ研究会の学生たちが角島に向かっているところから始まります。

読み始めて最初に目を引くのは、登場人物たちの名前です。

日本が舞台の小説のはずなのに、目に入るのはカタカナの名前。

しかも、なんだか聞き覚えがあります。

それもそのはずで、K大学推理小説ミステリ研究会では、欧米のミステリ作家の名にちなむニックネームで呼び合うという慣習がありました。

角島に向かった7人は次の通りです。

  • エラリイ
    • 法学部三回生。会誌『死人島』の現編集長
    • 由来:エラリー・クイーン
  • カー
    • 法学部三回生
    • 由来:ジョン・ディクスン・カー
  • ルルウ
    • 文学部二回生。会誌『死人島』の次期編集長
    • 由来:ガストン・ルルー
  • ポウ
    • 医学部四回生
    • 由来:エドガー・アラン・ポー
  • アガサ
    • 薬学部三回生
    • 由来:アガサ・クリスティー
  • オルツィ
    • 文学部二回生
    • 由来:バロネス・オルツィ
  • ヴァン
    • 理学部三回生
    • 由来:ヴァン・ダイン

いずれも有名なミステリ作家で、ミステリファンでなくともエラリイやポウ、アガサなどは見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

作家名にちなむニックネームで互いを呼び合うなんて、若干の厨二っぽさはありますが、”推理小説”ミステリ研究会らしくて楽しそう。

現実では絶対にできないですけれど、かえってそれがフィクション感があって私は面白いと感じました。

呼び名の設定、そしてこれから向かう孤島という舞台に非日常感が溢れ、「何かが起きるのではないか」という期待が膨らみます。

そして誰もいなくなった

『十角館の殺人』は、孤島・角島を舞台としたクローズドサークルミステリーです。

外部と隔絶された状況で起こる連続殺人。

犯人は7人の中にいるのか、それとも半年前の事件関係者が潜んでいるのか。

一人、また一人と命を落としていくごとに疑心暗鬼が強まり、緊迫感も増していきます。

また、読み進めるうちに、とある作品を連想する方も多いのではないでしょうか。

そう、アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』です。

『十角館の殺人』は『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品としても知られており、作中でも『そして誰もいなくなった』に触れられています。

『十角館の殺人』と『そして誰もいなくなった』の共通点

  • 絶海の孤島が舞台
  • 見立て殺人
  • 手記による告白

こうして見ると、物語の基本的な構造は『そして誰もいなくなった』を踏襲しているのがわかります。

しかし、推理小説で一番の核となるのはトリック!

両作品ではこのトリックのメイン要素がまったく異なります。

『十角館の殺人』は『そして誰もいなくなった』をオマージュしながらも、独自の手法で読者を驚愕させるための罠を仕掛けています。

ちなみに、両作品とも未読の方に関しては、個人的には『そして誰もいなくなった』を先に読むことを強くおすすめします。

  • 『十角館の殺人』が構造的に『そして誰もいなくなった』のネタバレになってしまう
  • 『そして誰もいなくなった』→『十角館の殺人』の順に読むことで、オマージュ作品として『十角館の殺人』を楽しむこともできる

『そして誰もいなくなった』を読んでいないと『十角館の殺人』がわからないということはありません。

しかし、フレッシュな気持ちで両作品を最大限楽しむには、『そして誰もいなくなった』を先に読むことをお勧めします。

『そして誰もいなくなった』のあらすじと感想はこちらをご覧ください。

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島と本土

『十角館の殺人』は、角島で起こる連続殺人と並行して、本土を舞台としたストーリーが進みます。

本土のメインとなるキャラクターは、K大学推理小説ミステリ研究会の元会員である河南です。

河南のもとに、告発文めいた手紙が届きました。

好奇心に突き動かされた河南が関係者のもとを訪ねていくと、そこに居合わせた島田という男性と知り合います。

河南は島田ととともに、半年前に角島で起きた謎の四重殺人事件の再調査を試みることになり、その中で中村青司は実は生きているのではないか?という仮説をたてるのでした。

島と本土。

別々の場所ですが、どちらも角島に関するストーリーです。

しかし、単なる場面転換と思って侮ってはいけません。

角島と本土のストーリー展開が絶妙にリンクしていて、読者はますます目が離せないようになっています。

『十角館の殺人』といえば、「衝撃の一行」という謡い文句が有名です。

検索しなくても情報が目に入ってきてしまう時代ですが、できれば前情報なしで読んでいただきたい。

そして素直に読み進めて、あっと驚いていただきたい。

そんな作品です。

本作の出版は1987年。40年以上近く前の作品です。

現代ではスマートフォンの普及によって「外部から隔絶された」状況というのは想像しにくいです。

しかし、スマートフォンが使えない状況に陥る可能性はあります(紛失、破損、充電切れなど)。

そんなとき、自分のまわりで連続殺人が起こったとしたら。

一気に登場人物たちの緊迫感が身近に感じられるのではないでしょうか。

『十角館の殺人』は「館」シリーズ第1作です。

第2作は『水車館の殺人』です。